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 繊細なセンスを持つシェフとは?●



今や予約も難しいレストランとなった『ラ・フォーリア』がオープンしたのは、2003年7月のこと。苦楽園でひと足先にお店をオープンしていた双子の弟、浅井卓司シェフに遅れる事約1年。鳴り物入りでオープンしたこのイタリアンの新店には、同業者からの注目も集まっている。そんな中、マイペースに自身の味をどんどん開拓している浅井信之シェフにお話を伺った。

その前にまず『LA FOGLIA』をチェック→

−−--初めて取材でゆっくりお料理の話を伺ったとき、シェフは自らの料理のテーマを「野菜」と断言した。確かに珍しい野菜が出てくることは多いし、食べてもそれが何なのかさえわからないなんてことも少なくない。「美味しい」だけじゃなく「びっくり」も体験できる料理だが、なぜ、いま野菜に注目するのか?!

最近になって、随分野菜、野菜と言われるようになりましたよね。でも、これまで野菜って、あまり食べられてなかったんじゃないかと思うんですよ。お肉も野菜もバランスよく食べなくちゃとは思っていても、なかなか…なんてね。でも、野菜をたくさん食べたら、「いい食事をしたー!」っていう気持ちになりません?

野菜って、食べ過ぎってことはないと思うんですよ。たくさん食べたからといって、次の日にしんどくなることもないし。それに、僕のところには仕事柄、美味しい野菜の情報がたくさん入ってくる。だからみんなに「食べさせたい!」という思いもあるんですよ。あ! でも今の野菜って、決して安くはないんです。お肉より高いものもあるぐらいで。だから、安くあげようって思ってるわけではないんですよ(笑)。

●「四六時中料理のことを考えている」。

珍しい野菜は、知り合いの農家の方や、同業者から情報を得て仕入れることが多いですね。

こんなの見たことないぞ!っていう野菜に出会った時は、まず、生で食べてみるんです。それから塩茹でしてみる、焼いてみる、蒸してみる。それでも食べられなかったら、ピューレにしてみる−−と実験するんです。

例えば、最近入ってきている“四角豆”という沖縄原産の豆があります。見た目は「何コレ?!」っていうものなんだけど、ちゃんと処理したらすごく美味しいんですよ!! この豆もそうやって実験してみて、これまで使ったもののどれに似ているだろうか、と考えてみるわけです。四角豆なら、豆の青っぽさ、甘さ、それからガクの苦味。味の要素としては3つです。これをどうやって生かしていくか、アイディアをひねるんです。

いつ考えるかって? 四六時中、考えていますね(笑)。そりゃあもう、寝ても覚めても、お風呂の中でも、仕入れに行く車の中でもずっと。もちろん、煮詰まる時もありますよ。そんな時は、いったん考えるのを止めるんです。気心の知れたスタッフたちと、ほんっとにしょうもない無駄話をしたりして、頭をクールダウンさせるんですよ。そうするとまた、「俺って天才か?」と思うほどアイディアが出てくるんですよ!(笑)。


--常に料理のことを考えている、いや考えてしまうのだろう。料理人という仕事は、浅井氏にとって天職のように思えるが…

シェフになった理由はね、すごく不純なんです。あんまり言いたくないけど(笑)、一応言っときますか。

高校時代、僕は洋服がすごく好きで、服屋でアルバイトしてたんですよね。でも、ある都合でそこのバイトを辞めることになり、つなぎのつもりで働き始めたのが、今はなき岡本のとある飲食店。料理なんて、やったこともなかったんだけど、これが結構楽しくてね。で、1ヶ月過ぎた頃、ふと周りを見ると、食べるものいっぱいあるでしょ? これは食いっぱぐれがないな、と。しかもお給料までもらえてしまう(笑)。で、料理学校に進んだんですよ。


動機は不純だったけど、やっていくうちに、どんどん欲が出てきたんです。この業界でトップになりたい、と。でもそんなに学校は行ってなかったですね。バイトしてたしね。夜遅くまでバイトして、朝は起きられないし(笑)。だけど、卒業前になって、「就職してしまったら時間もなくなる、今しかない!」と、フランスへの留学を決めました。その頃から、イタリア料理をやることは決めていたんですよ。だけど、色々なことを知っておこうと思って、あえてフランスへ。